ノートをつける

 

仕事ノートをつけはじめてから、30年近く経つのではないかと思う。きっかけはBreakfast時代に、社長(故杉本英介氏)にノートをつけることを奨められたからだと記憶している。はじめは立派なノートを購入して記入してみるが、なかなか進まない。気楽に使えないのだ。そこで、どこにでもある大学ノートを使うことにした。ハードルを下げたことで楽になり、様々なことを書き込んだり、貼り込んだりするようになる。人に見せるためのものではないし、日記のような感情的なものは一切ない。初期の頃は、一日1 ページか2ページで、日誌のようなものだった。そのうち、仕事ごとにノートをつくることになるのだが、後々意外なことがわかってくる。自分にとって、仕事への関わりの深さや、面白さでノートの厚みが違うのである。はじめての仕事の際には、いきなりノートは登場せず、コピー用紙等に書き込んでいき、仕事が確実性を増した時点でノートに昇格していく、そうなると、プレゼンの内容やミーティングの議事録のようなもの(自分が興味あることしか記入せず)等々、手当たり次第ノートに閉じ込めていく。約400冊あるノートの中でも貫禄があるのは“和歌山県ノート”だと思う。和歌山県の観光キャンペーンの仕事で3年間、その後リトルモアから「紀ノ国屋本左衛門」という本が出ることになり、約1年間の追加取材を合わせて計4年間の様々な事やモノがとじこめられている。Conceptのプレゼンテーションシートからはじまって、クライアントの名刺、ロケの旅程、藤井保氏の4×5のポラ、朝食、昼食、夕食の記録、箸袋、枯葉、チケット、包装紙….。最終的に4冊の合体になり、約2kgのノートを常にロケに携行することになる。又ノートにスクラップしたり、スタンプしたものを、ポ スターに利用もしている。
自分にとってのノートは、記録でもあり又、仕事に対しての取り組みを確認する行為でもあると思っている。

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